ETC2.0を学ぶ(ETC3.0はどうなる?)

ETC2.0って何?

従来のETC車載機は、単純に「料金所での高速道路料金決済システム」に過ぎず、そのための情報のやり取りしか行えないものでした。ETCレーンに差し掛かるとレーンに設置された機械と車載機が高速道路入り口の情報をやり取りし、出口では料金の情報とその決済に必要な情報をやり取りする、あるいはETCカードが車載機に刺さっていない場合には、それを知らせる、など単純なものでした。
「ETC2.0」は、ははるかに大量のデータの送受信が可能で、いままでのETCの高速道路利用料金収受だけではなく、全国の高速道路上に約1600カ所設置されている「ITSスポット」を使い、渋滞回避や安全運転支援といった、ドライバーに有益な情報を提供するサービスです。

 

どんな機能がついてるの?

  • 圏央道利用分について料金水準を約2割引・・・2016年4月からは、首都圏の圏央道の料金水準が約2割引となっています。
  • 特殊車両・大型車両の通行許可申請手続きの簡素化・・・大型車誘導区間内であれば渋滞や事故、災害等による通行障害発生時の迂回ができ、輸送を効率化できます。また許可更新時の手続きを自動化し、手続きが従来に比べ簡素化されます。
  • 高速道路からの一時退出を可能とする「賢い料金」について・・・国土交通省は、休憩施設等への一時退出を可能とする「賢い料金」の実証実験を開始しました。
    対象はETC2.0搭載車限定で、一時退出後指定の施設に立ち寄りETC2.0送受信機を通過した車に限り、IC退出後1時間以内であれば、目的地まで高速道路を降りずに利用した場合と同じ料金になります。
  • ビーコンの代わり・・・国土交通省では新規で開通する高速道路の路線では VICS 電波ビーコンによる情報提供を ETC2.0 に置き換えると言っています。これまで渋滞を避けるルート探索や渋滞を考慮した到着予想時刻の計算には、VICS による FM 多重放送、高速道路の電波ビーコンと一般道の光ビーコンによる交通情報の取得が必要でした。それが高速道路上では今後電波ビーコンに代わって ETC2.0 が役割を果たすようになります。

 

今後、どんなサービスが予定されてるの?

    • 一時退出・再進入の料金同一化・・・災害、事故時、給油目的でなどで高速道路を一時的に退出して、再進入した場合、退出せずに連続して走行した際の料金とみなします。

    • 渋滞を避けたルートを選択して料金割引・・・ETC2.0では走行経路情報を活用した新サービスが予定されています。例えば渋滞が激しい大都市圏で、環状道路などを使って同じ目的地に向う場合、渋滞を避けたルートを走行した時に高速道路料金が割引になるサービスが検討されています。

    • 経路情報を活用したサービス・・・ETC2.0により、走行経路や急ブレーキ、急ハンドルの情報を物流会社へ提供し、運行や配送の管理などを支援します。また、特殊車両・大型車両の走行経路などを把握して、道路ネットワークの賢い利用も促進します。

    • 賢い経路選択で目的地まで円滑なドライブが可能に・・・大都市部では道路ネットワークの整備に伴って、経路選択の幅が飛躍的に増加。経路情報を収集・蓄積可能なETC2.0対応車載器とITSスポットにより、渋滞、事故等の状況に応じて賢く経路選択を行うドライバーに対する優遇措置が可能となります。このことは将来、道路ネットワーク全体の有効活用につながります。

    • 駐車場での利用料金決済/フェリー乗船の簡素化・・・小銭の用意が不要。さらに周辺店舗情報も併せて発信することが可能になります。

※写真は国土交通省参照

 

どのくらい普及しているの?

 ETC  2017年7月   2017年8月   2017年9月
 増加数/月  563,143  456,165  550,517
 全セットアップ件数累計  80,392,219  80,848,384  81,398,901
 内、再セットアップ件数の累計  21,307,877 21,467,170 21,647,953
ETC2.0 2017年7月   2017年8月 2017年9月
 増加数/月 101,453 82,011 107,073
 全セットアップ件数累計 2,751,361 2,833,372 2,940,445
 内、再セットアップ件数の累計 286,695 301,287  319,295
  • 「全セットアップ件数」とは、セットアップが完了した総件数
  • 「再セットアップ件数」とは、「全セットアップ件数」のうち、既にセットアップ完了済の車載器に再度セットアップをした総件数

 

今1.0だけど2.0にするにはどうするの?

ETC2.0対応車載器(ETC2.0車載器・GPS付発話型ETC2.0車載器・DSRC車載器)が必要です。ただし新サービスを利用するためには、2015年7月1日以降にETC2.0セットアップをした車載器が必要です。
※従来のETC車載器では、新サービスをご利用する事は出来ません。

また、ETC2.0の高速・大容量通信を活用した図形・画像情報等を活用するにはカーナビまたはスマートフォンとそれに連動するETC2.0車載器が必要です。
ETC2.0車載器によって適用するスマートフォンが異なります。

自分で変えることができるの?


ETC2.0車載器はカーディーラーやカー用品店・自動車整備工場などで購入と取り付けができます。取付作業は専門的な技術と知識が必要です。必ず、車載器メーカーが取扱説明書等で指定する方法で行ってください。また、従来のETC車載器が装着されている場合は必ず取り外す必要があります。
※従来のETC車載器と、 ETC2.0車載器が同じクルマに取り付けられている場合は、機器が正しく動作しません。

 

ETC3.0はどうなるの?(予想)

  • 「自動車交通のための情報通信システム周辺」から「クルマと情報をとりまく生活全体」へと一気に広がり、観光業、レジャー産業、などロードサイドでの消費形態を大きく変えることになると予想されます。「自分の店を欲している客を確実に呼び寄せることができる」販促策を持つことができるようになります。
  • ハード(車載器)も今のようにセットアップする必要がなくなり、スマホがETCの役割を果たすようになります。
  • 渋滞がなくなります。
  • 高速道路の補強が必要な箇所を自動的にデータを取得し、国交省へ通知がいきます。
  • 混雑状況によって交通費を自由に変更させたり、過疎化が進む、観光名所のない市町村に訪れる人を増やすために、訪れたドライバーの高速代を後付けで無料にすることができるようになります。

 

まとめ

いかがでしたか?料金所が無人になるということ自体も30年前なら考えられませんでしたが、今なおどんどん進化していきますね。今後さらにテレマティクス、全自動運転車時代に向けておこりえる変化を一人のドライバーとして楽しみにしています。

 

この記事の執筆者
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ライター歴2週間ですが、頑張ります

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